社内コミュニケーションがうまくいく《ほっとひと息ヒント集 Vol.5》
その「注意」は相手のため?
「それ、やり方違うけど。前に教えたよね。どうしてできないの?」
「違う、違う!替わるからどいて!」
「普通、分からなかったら確認するでしょ。勝手にやらないで」
間違ってやっているのを見たら注意する、これは当たり前のことです。
近年は「少し注意するとパワハラだと言われるので、注意もできない」という声を耳にします。
だからといって、間違っているのに注意しないのも問題があります。
そもそも「注意」には「気をつけるように忠告する」という意味があります。
「忠告」は「真心をもって、相手の悪いところを指摘して直すように勧めること」です。
注意が忠告として伝わっていれば、ハラスメント(嫌がらせ)にはならずに済みそうです。
ここで、冒頭の言葉を読み返してみると、感じるのは「責め」や「いらだち」「失笑」といった否定的な印象ですね。
真心をもって、という伝え方にはなっていません。
注意された側が萎縮してしまうと、余計に動けなくなったり、質問できなくなったりします。
「注意」が相手のための「忠告」なのだとすると、注意の後に相手が納得して改善行動ができるような伝え方をすることが必要です。
「それはやり方が違うよ。どんな風にやろうとしている?」
「ちょっとストップ!替わるから見ておいて。後で確認しよう」
「迷いがあったら確認してもらうと、周りも安心だよ」
これらの言い方であれば印象はどう変わるでしょうか?
注意される側に「正確にやろうとしていたつもり」や「周囲に頼っていいか迷う気持ち」があることを前提として言葉を選んでいます。
「やり方を再確認すれば良い」「迷うときは確認した方が自分にとっても周囲にとっても安心」ということが伝われば、注意された側も動きやすくなります。
相手のための「忠告」としての「注意」になっているか、自分のいらだちを伝える「注意」になっていないか、ちょっと気にしてみると良さそうです。
(柴村 馨)