社内コミュニケーションがうまくいく《ほっとひと息ヒント集 Vol.25》
社内教育も恩送り~「受けた恩恵を次の者へ」~
職場に新たなメンバーを迎えて、1ヶ月が経ちました。
新卒入社の方、中途入社の方、他部署からの異動の方、そして迎える側の方々、
皆さん、春からの職場の雰囲気づくりは落ち着いてこられましたか?
少し前になりますが、舞台版の「キングダム」を観劇する機会がありました。
その中の登場人物の言葉に「受けた恩恵を次の者へ」というものがありました。
主人公の一人を命懸けで救ってくれる人からの言葉でした。
命を落としてしまうその人に恩を返すことはできないけれど、
その恩を次に出会った人に送ってつなぐことが恩返しになる、
とても深みのある言葉で、非常に印象に残りました。
昔から「恩送り」という言葉が使われてきました。
受けた恩を相手に返すのではなく、誰か他の人に送る、それが相手の恩に
報いることにもなる、という社会性に満ちた言葉です。
高速道路などでのファスナー合流もその一例になるかもしれません。
「自分も譲ってもらって入れてもらった、だから自分もそうする」の
繰り返しが起こることで、ルール化することなく、気持ちよく最適な動きになります。
社内教育の中にも、この「恩送り」が息づいていますね。
「わからなくて困っていた時に、先輩が気持ちよく教えてくれた」
「客先でミスをして焦っていた時に、上司がさりげなく対応を教えてくれた」
「部署異動で物品の位置がわからなかったときに、後輩が自作の物品マップをくれた」
自分も教えてもらって有難かった、その恩を次の新メンバーに教えることで
「恩送り」をしていることになります。
気持ちよく教えてもらって有難かった、この経験は恩送りにつながりやすいものです。
素直に「ありがとうございます!」が返せるような気持ちの良い社内教育であること、
これが、次に次にとつながって、仕事を教えてもらいやすい雰囲気がつくられます。
反対に、嫌みな教え方をしたり、意地悪く教えないことがあったりする社内教育では、
恩送りとは真逆の「意趣(恨み)送り」で嫌な雰囲気になりかねません。
仕事を覚えるより先にストレス対処で参ってしまいます。
万が一、嫌な教え方をされた場合も、「意趣(恨み)送り」はせずに、
自分のところですっぱりと「意趣(恨み)断ち」をして、
自分から「恩送りスタート」することが、実は何よりの「意趣返し(仕返し)」
であったりもします。
何より、自分がダークサイドに引き込まれなかった後味の良さがあるでしょう。
「恩送り」につながるような、気持ちの良い教え方・伝え方をすること、
「恩送り」で、自分も次の人に気持ちよく教えたり伝えたりすること、
ほっとする社内教育の雰囲気づくりにはとても大切なことです。
「受けた恩恵を次の者へ」
社内教育だけでなく、日常生活でも大切にしたい言葉です。
(柴村 馨)