社内コミュニケーションがうまくいく《ほっとひと息ヒント集 Vol.53》

「アサーション」でできること―その3!

3回に分けての「アサーションでできること」シリーズ、いよいよ最終話です。

アサーションは「自分の感情や考えなどを抑え込みすぎず、適切に表現する」という

「自己表現」のコミュニケーションです。

今回は、アサーションの「適切に表現を選ぶ」面を深掘りしましょう。

自分の思いや考えを相手に伝えると決めた場合、それをどのような言葉で表現し、

どのような伝え方(言い方)で伝えるのか、考えますね。

アサーションでいうところの「適切な表現」は、「伝えると決めたことを

相手の受け取りやすさに配慮しながら、過不足なく伝えられる表現」です。

前回のブログでお伝えしたように、まず、相手の話を聴くことで相手への関心を伝えます。

実は、そこからすでに「適切な表現」は始まっています。

そして、まずは不足なく伝えられるように、自分の思いや考えを明確にします。

例えば、抱えている仕事で手一杯で、頼まれたことを引き受けるのが難しい場合、

伝えたいのが以下の2点だとしましょう。

①頼まれたことは引き受けられない

②頼む前にこちらの状況を確認して欲しい

あなたなら、どのような表現で伝えますか?

「いや~、ちょっと……」では、単に嫌がっているだけだと誤解されそうです。

①も②も明確には伝えられていません。表現不足ですね。

「無理です。見て分かりませんか?普通、こちらの都合を確認しますよね?」、

これでは攻撃的過ぎて、相手が受け取りにくい表現になってしまっています。

とりあえず、①も②も伝わりはしますが、その後の関係性に影響が出かねません。

安全・安心な仕事を進めることに支障があるのは困りものです。

過剰な表現では、文字通り余分なものまで伝わってしまいます。

「それはお急ぎでしょうか?」「なるほど、お客様が関係しているのであれば、

あまり余裕はないですね」「手隙な状況であれば、もちろんお引き受けしますが、

今は手一杯で難しいです。早めに打診していただければ調整できることもあります」

相手の事情を聴いて考慮に入れつつ、①も②も伝わる表現です。

相手にも①今回は断られたこと②次は早めに状況確認したほうがよいこと、が

過不足なく伝わります。

もし、いつもいつも急な仕事を振ってくるので②を特に伝えたい、という状況ならば、

「協力するのはもちろんのことだと考えていますが、それぞれに抱えている仕事も

あります。頼む前には相手の状況確認と、仕事の重要度が判断できる情報提供とを、

忘れずに入れていくと、お互いやりやすそうですね。それでいきませんか?」と

お互いの留意点として提案すると、納得して受け入れてもらえそうです。

アサーションで過不足のない、適切な表現を選んで、お互いに気持ちよく

協働できると良いですね!

(柴村 馨)