社内コミュニケーションがうまくいく《ほっとひと息ヒント集 Vol.52》

「アサーション」でできること―その2!

前回から3回に分けて、「アサーションでできること」を深掘りしてお伝えしています。

アサーションが「自分の感情や考えなどを抑え込みすぎず、適切に表現する」という

「自己表現」のコミュニケーションであることを、前回のブログでお伝えしました。

今回は、アサーションの「伝える程に受け取る」面を深掘りしましょう。

「自己表現」といえば、自分の思いや考えを「自分から伝える」イメージでしょうか。

日頃、気持ちよく自分の思いや考えを伝えてくれる人のコミュニケーションを

思い返していただくと、「自分から伝える」前にやっていることがありませんか?

まずは「相手の話を聴く」ことから始めているのではないでしょうか。

相手の話をしっかりと聴いて受け取ることによって、自分が伝えたい思いや考えと

相手が持っている思いや考えとの共通点や相違点を把握することができます。

そうすると、「ここは同じ考えです」という、相手への共感や同意から

自分の話をスタートさせることができます。

共感や同意は、意見交換するうえでの互いの安心感につながります。

自分の意見を伝えることへの苦手意識は、相手との意見の相違があるのでは、

という緊張感や不安感からうまれます。

もちろん、相手との意見の相違はあるものですし、あって良いのですが、

すぐに論破しようと攻撃的になる相手もたまにいますので、緊張を感じるのです。

共感や同意から始まるコミュニケーションは、話す側の自分にとっても、

話を受け取る側の相手にとっても、気持ちのよさが伝わるものになります。

そして、人は自分の話をしっかりと受け止めて聴いてくれる人の話は

自分もしっかりと聴こうとするものです。

相手の話を受け取る姿勢は、相手への肯定的な関心を伝えるからです。

「どうせ、こんなことを話すつもりなのだろう」という否定的な決めつけや

「この人はたいした話はできなさそうだ」といった低い値踏みをする人は、

そもそも相手の話を聴こうとはせず、自分の意見の正しさを一方的に主張します。

相手の思いや考えを尊重したいと考えて話を聴くことで、その姿勢が伝わるのです。

「相手の話を受け取る」ことを通しても、自分を伝える自己表現ができるということ、

これが、アサーションの「伝える程に受け取る」面です。

次回は、アサーションで選ぶ「適切な表現」を深掘りしましょう。

(柴村 馨)