管理職の仕事は「スーパーマン」のマネジメントである

先月の職場いきいきプロジェクトミーティング(以下、いきプロMTG)で「なるほど!」と、

一気に腹落ちした言葉があります。

それは、ある事業所のトップの発言でした。

「私は、スーパーマンに活躍してもらうのです。

周りの皆さんがすごいから、その動きを止めずに好きなように活躍してもらうのです。

そのための下準備は何てことはありません。私は普通の人ですから」

「自分より、周りの皆さんがすごい人ばかりだから、その方々に思い切り動いてもらいます。

これは先輩に教わった知恵なんです。」

この言葉を聞いて、潔くタレントマネジメントをされている管理職だなと思いましたし、

この事業所では文化が継承されている、と感じました。

先輩社員が部下になることはよく見かける光景で、

この事業所のトップの方も先輩社員が部下となっていました。

部下となった先輩に、どのように接していくか、新任管理職の皆様の悩みどころです。

この方は素直に、今まで出会ってきた管理職の諸先輩方の教えを実践し、

そして実際に良い方向へ事業所運営が進み始め、

実感を伴って「スーパーマンに気持ちよく働いてもらう」ことに注力しているのです。

数人いるスーパーマンは、各々の得意と特技を活かして、それぞれの持ち場に散らばり、

経験や学んできたことを一番得意な分野で活かしています。

このうち2人は別の事業所で、いきプロMTGを私どもと一緒に開催した仲間であり、

まさにこのお2人を活かしきっているな、と思いました。

適材適所と言ってしまえばそれだけですが、

本社の人事のテコ入れもありながら、事業所としてのマネジメントを確立し、

「出来ている状態」を「当たり前の状態」に平準化して、

一般職の皆さんが「この状態が当たり前で、気持ち良く働ける」と思える状態をみんなで作り上げ、

それを維持し続けて習慣にしてしまおうとしている、

この管理職の方の計画は、一見坦々と進んでいきますが、

底力のあるパワフルな組織構築の土台づくりだなと感心し、学ぶべきところの多い事例でした。

ルールが多すぎる、今どきに合わない社則が多い、何のためのルールか分からない、

と様々な事業所で耳にしますが、

その一つ一つの社内ルールや業務ルールの意味と目的を紐解いて、

納得できるところまで現場で検証する。

現場で実験して意味と目的を確かめ、互いに話し合い、やはり必要だよねと納得したなら、

その旨を用いて指導教育し続ける。

それでも一定数の「いらないんじゃない?」と訝しむ数人を、どのように巻き込んでいくのか、

多くのスーパーマンの知恵と技術を借りながら、奮闘する管理職。

働きやすい職場とは、このように一般職の方々の日々の業務に想いを馳せ、

本当に大切なことを伝えようとする管理職によって実現されていく、と実感しました。

(森川 美希)