社内コミュニケーションがうまくいく《ほっとひと息ヒント集 Vol.49》

人材育成に関わる人には知っておいてほしいコーチング

新入社員を迎える、他部署からの異動者が来るなど、

何かと教えたり説明したりする機会も多いことと思います。

最初の時期は「わかりやすく」伝えることが大切です。

伝える内容としては、社内での部署の位置づけ、自部署での物品の配置や

作業手順や役割分担など、仕事内容を説明することが主な内容です。

説明するときに大切なのが、「何のために」という目的です。

「何のために自部署があるのか、果たすべき役割は何か」

「何のためにその手順になっているのか、安全・安心につながるのか」

「何のために自分はその仕事をするのか、他部署の仕事にどう繋がるのか」

まずは、これらのことをしっかりと理解して行動できるように支援する必要があります。

初期の段階では、このように「教える・説明する」ことが必要ですが、

「人材育成」の観点から見れば、この後が大切です。

教えてもらったことしかしない・できない「指示待ち」の人材や、

「自分で判断することができない」人材では困ります。

そうならないためには、自分の意志で仕事について考え、動く、

自律した人材に育てる必要があります。

それに適したコミュニケーション・スキルに「コーチング」があります。

「コーチング」は、対話を通じて、相手が持っている意欲や能力を引き出し、

「自分で考えて決める力」を育てることにつながります。

コーチングにおける対話では、「質問」を重視します。

質問を通して、相手が「仕事をする中でどうありたいのか(目標)」、

「現時点での自分はどうなのか(現状)」、「目標に近づくにはどのような

やり方がありそうか(選択肢)」、「それに必要なものや人はあるか(資源)」、

「具体的に、いつまでに、何をどのようにどうするのか(意志)」を確認し、

具体的な行動の実施と、その行動の振り返りと維持・改善まで支援します。

それだけ手厚い支援を受けたら、成功体験を積み重ねることもできて、

失敗経験も丁寧な振り返りで次に活かすことができる人材になるでしょう。

育成する側の先輩や上司が、この「コーチング」を人材育成・支援のための

コミュニケーション・スキルとして身につけておくことで、

「自分で考え、動き、振り返りをして改善して成長する」人材を

育成することが期待できます。

面談にもとても役立ちますし、御自分の振り返りにも使えますので、

大変お勧めなコミュニケーション・スキルです。

(柴村 馨)