ひとりでカバーできる範囲には限界がある

組織はチームです。

ひとつの目標に向かって、全員が自分の役割を理解して行動し続けることで成果をあげていきます。

組織力強化プログラム”職場いきいきプロジェクト(以下、いきプロ)“では、

チームで業務を遂行するときの具体案を

管理職ミーティングやスタッフミーティングで策定し、計画します。

ある日、某社の管理職がミーティングのとき、ポロリと語りました。「限界を感じる・・・」

「何か打破できる手立てはないでしょうか」とおっしゃるので、

他社事例や自分の経験をもとに、いくつかヒントを提案しました。

「こういう手法は?こんな手もありますよ?」とお話をしましたが、ピンと来ていない様子です。

何が課題なのか、どこに原因があるのか、気になりながらも、なかなか見えて来ず、

ミーティングの様子を観察し続けていました。

くだけた場面の会話で、課長から出た一言が秀逸でした。

「部長、私たちに任せてくださいよ。」

すると、もう1人の課長からも

「そうですよ。何もかも1人で抱えこまずに、僕らに振ってくださいよ。」との発言。

そこから部長と課長で、今までの様々な場面での経緯や状況をもとに話し合って

「森川さん、どうなんですか?」と、課長から私に振られて、笑みがこぼれてしまいました。

このとき下記のようにお話しました。

「この、今ここの、話し合いが良いんです!

こうして管理職チームで話し合って、前へ進むのが良いんです!

バスケットの試合のとき、1人だけでドリブルし続けて、

シュートまで持っていくのは限界があるでしょう。

的確にパスを回して、ゴール下まで、みんなの手を介してボールを運ぶ。

そして、最後に一番近いゴール下に居る人がシュートをすれば良いんです。

部長、パスを出しませんか。

自分だけで必死にボールを運び続けるのをやめて、仲間を信頼して、パスを出しませんか。」

こんなお話をすると、課長のお二方の目が輝いて、もう1人の新任係長を巻き込んで

「自分たちに任せてください!」

と、3人の頼もしい“現場リーダー”たちが宣言したのです。

私は、うるうると感動しましたが、部長は、まだボールを離したくないのです。

何年も、1人で抱えてドリブルし続けて来たのです。

代替案をいくつか出しながら関わりの度合いを調整することで、

ちょっと抵抗しつつもパスを出せそうなところまで来ました。

あとは現場での実践です。肝になるのは、課長、係長の現場リーダーたちです。

3人のリーダーにエールを送りました。

「みなさんの決意と行動の方向性は合っていると私は思います!

ぜひご自分たちの考えを実行してください!」

課長、係長たちは、部長から受け取ったパス(権限)を活かし、

それぞれの考えを実践して成果を出しています。

より現場に近い管理職は、実践的なアイデアを多く持ち合わせています。

それを実行に移すには、チャレンジできる風土や、

実験的に実施してみて検証できる土壌が必要と思います。

※この記事は、2018.5.8に掲載したブログを元に加筆して再掲しています

(森川 美希)