社内コミュニケーションがうまくいく《ほっとひと息ヒント集 Vol.13》

気まずさ吸収力-その3

今回は「気まずさ吸収力」最後の3つ目をお伝えします。

気まずさ吸収力3つ目は「他者同士による気まずさには助け船を出す」です。

自分が直接関係していなくても、同じ職場に気まずくなっている人たちが居る状態は

なんとなく職場全体の居心地が良くない感じがします。

当事者同士では気まずさ吸収が難しそうな場合、周囲が吸収力を発揮しましょう。

Aさんの職場の事例で考えてみましょう。

新入社員のBさんは客先に出かけるとき、いつもぎりぎりの時間に会社を出ます。

本人は時間効率の良い仕事の仕方だと考えているようですが、中堅のCさんは心配して

「まだ出なくて大丈夫なの?遅れないようにね」とよく声をかけていました。

ある日、電車が少し遅延してBさんは先方との約束に遅刻してしまいました。

帰社時にBさんは「あの遅延がなかったら間に合っていました」と報告しています。

それを聞いて、Cさんが強めの口調でこう言いました。

「遅れるなんて社会人として恥ずかしいことだよ。だからいつも遅れないようにって

声をかけているのに。余裕を持って移動するのが常識でしょう」

Bさんは、ムッとした表情で「仕方ないのに…。分かりました。今後気をつけます」

と返し、二人の間に気まずい空気が流れ、周囲の空気も固まりかけます。

このままではBさんとCさんは気まずい関係になりそうですし、そうなると周囲も

気を遣って疲れてしまいます。Aさんはフォローを入れることにしました。

Bさんには、「電車の遅延はもちろんあなたの責任じゃないけど、少し早めに

着くぐらいの余裕を持つようにしておけば、少しの遅延はカバーできるよね。

Cさんがいつも声をかけてくれるのは、余裕を持った移動があなたの信用づくりに

つながるって考えてのこと。それは分かっているんだよね」と声をかけました。

そして、CさんにはBさんにも聞こえるようにこう話しかけました。

「Bさんの効率の良さにはいつも感心していましたよね。ただ、移動がぎりぎりなのは

いつか遅刻につながるのではと心配されていたんですよね」

「Bさんのことだから、遅刻は効率が良くないと実感して、次からは余裕を持った

移動にするんじゃないかと思いますよ」

二人ともAさんに対してうなずきながら笑顔を見せてくれて、周囲もほっとした

雰囲気になりました。

他者同士の気まずさには、周囲が「~なつもりだったんですよね」と助け船を出すことで

気まずさの解消につなげることができます。

少し高度な技に感じられるかもしれませんが、気まずさは固まる前の手当てが大切です。

気まずい空気がただよう居心地の良くない環境にしないためにも、

3つ目の気まずさ吸収力である「助け船」発揮しましょう!

(柴村 馨)