社内コミュニケーションがうまくいく《ほっとひと息ヒント集 Vol.12》
気まずさ吸収力-その2
今回は3つある「気まずさ吸収力」の2つ目をお伝えします。
気まずさ吸収力2つ目は「誤解による気まずさは、早めに解消してしまう」です。
リーダークラスのAさんの事例で考えてみましょう。
部下のBさんが作成した資料には、毎回のように誤字があり、Aさんはこう注意しました。
「いつも誤字があるよね。資料は提出前に誤字脱字を見直すのが当たり前だよ。
漢字が苦手なんだったら、その都度調べないと。本読まないと漢字苦手になるもんね」
その時には「はい、すみません」と小さな声で答えたBさんでしたが、
「Aさんから、本読まないから漢字も苦手なんだって決めつけられた。
見直しが不十分だったのは確かだけど、別に漢字が苦手なわけじゃない。
何なら、本読むのは趣味にしているくらいなのに。
小学生からやり直せって言われている気がして…馬鹿にしてるよね」と
他のスタッフに話しているのを耳にしました。
もちろん、AさんにはBさんを馬鹿にするつもりなどありませんでした。
「自分も本を読まないから漢字は苦手なんだ」という共感を含めた
フォローのつもりで言った言葉でしたが、誤解を生んだようです。
Bさんの態度もAさんを避けているようで、気まずい感じになってしまいました。
Aさんが注意で伝えたかったのは、資料作成時の丁寧な見直しの必要性です。
それ自体には問題なかったのですが、「誤字の原因は漢字が苦手だから」という
想像でアドバイスをしようとしたことで、余計な誤解を招きました。
このような気まずさを放置しておくと、互いへの苦手意識ができてしまうことも。
誤解は早めに解消することで、気まずさを吸収するだけでなく、
ときには良い印象につながることもあります。
Aさんの事例に戻りましょう。
誤解を解消したいと考えたAさんでしたが、直接言われたことではないので、
どう切り出すか迷います。誤解のもとになった「原因についての想像」を
伝えてみることにしました。
Aさん「この前、誤字の注意のとき、漢字が苦手ならっていう話をしたけど、
よくよく考えたら、入力時の漢字変換で候補が出てくるもんね。
だから自分みたいに漢字が苦手だとあれは助かるのは助かる。
でも、候補が多いと、どの漢字が正解なのか迷うんだけど、
Bさんはどう?」
Bさん「…自分はあまり迷わず選べるんですが、操作ミスで間違った選択をしたまま、
確認せずに書き続けることがあって、それが誤字につながっているなと思います」
Aさん「そっか!漢字が苦手ってわけじゃないんだね。自分と一緒くたにして
申し訳ない!」
Bさん「いや、見直しをちゃんとしていれば誤選択にも気付くはずなので、
今後は気を付けます」
Aさん「うん、自分も誤字の原因が自分と同じ漢字力不足だって決めつけないように
今後は気を付けます!漢字力不足改善に本読まなきゃ。お勧めの読みやすい本
あったら教えてね」
Bさん「はい!明日にでもお勧めを持ってきますね」
Aさん「すっごく読みやすい本で頼むよ!」
自分の苦手についての話から始めることで、相手も警戒せずに聞けて、自然と誤解の解消ができています。
自然に、でもしっかりとあっさりと謝罪したことで、気まずさも吸収され、
自分のことを肯定的に理解してくれたという良い印象が残ります。
「もしかしたら誤解させてしまったかもしれないけれど…」
「~って受け取っていないかな、と心配になって…」
このようなフレーズを活用して、「誤解による気まずさは、早めに解消してしまう」。
これが気まずさ吸収力の2つ目です。
(柴村 馨)