最初は「やらされ感」で良い
以前、ある業務チームのリーダーと 1on1をしたときの話です。
このリーダーは初代リーダーからチームを引き継いで、4年目となりました。
来年度は次の世代にリーダーを渡したいと考えている、と次のように話してくれました。
『初代リーダーが作ったチーム内の関係性の良い状態を保ちつつ、
さらに工夫を凝らして、より良くして自分なりに運営してきた。
次の若手に渡すと考えると、誰もきっと“やりたくない”と言うのでは、と想定している。
向いていない、自信がない、事情があって、などと、できない理由を並べるだろう。
そのときに「最初は、やらされ感で良い」と伝えようと思う。
自分はリーダーを降りてもチーム内にいてバックアップするし、
初代リーダーも降りたあと、チーム内で率先して業務に取り組んでくれて
無言で応援し続けてくれている。
最初は、やらされ感から始まったとしても、きっと良いリーダーに育つと信じて渡す。』
役割が人を育てるとよく言われますが、まさにそれをこのリーダー自身が実践してきており、
そのバトンを次世代に渡そうとしているのだな、と感じました。
「先輩のやり方を見て仕事を覚えましょう」というのが通常の育成形式と思いますが、
それとは少し違っていて、マニュアル化しにくいリーダー業務を
まず若手にリーダーになってもらうことから始めます。
そして、間近でケーススタディに一緒に取り組みながら、
そばで先輩がバックアップするという育成形式。
リーダー業務を身に付けてもらいながら、
やらされ感からの脱却と主体性の獲得を目指していくのです。
業務や職種によっては、このやり方も良いのかもしれないと思いました。
弊社が提供する「職場いきいきプロジェクト!」では、組織の状態に合わせて、
さまざまなカテゴリの方々への1on1を提案します。
この1on1をきっかけに物事が進み始めることも多々あります。
個人の集まりが組織ですから、個人にフォーカスすることも時に必要だと思います。
(森川美希)