できている状態を増やす

普段ならできるのに、この時はできなかったという経験は誰でも持っていると思います。

弊社で提供している職場いきいきプロジェクト(以下、いきプロ)ミーティングの中でも

「改善」をテーマに話し合われることが多々あります。

事故、ミス、エラー、不安全行動などのネガティブな事例をどう改善するのか、

管理者は本当に困って議題にあげてきます。

先日のミーティングでも事故には至らなかったけれども

危なかった“不安全行動”の改善が議題にあがりました。

その不安全行動は、前車が左折しようとしていたが停止し、

急ブレーキで追突事故をまぬがれたという内容でした。

ドライブレコーダーの動画をよく見ると、

前車が左折しようとしたときに横断歩道の向こう側から自転車が渡ってきたことに気づいて、

前車は停止したのですが、自分はその自転車に気づけず

「前のクルマは、そのまま行ってしまうだろう」と憶測運転になっており、

急ブレーキになってしまった、という内容でした。

この方は普段から、自分が左折するときには「左後方の自転車、ミニバイク、歩行者の確認」

「横断歩道の手前側、向こう側からの自転車、歩行者の確認」をしてから左折する、

という安全行動をしているにも関わらず、前車が同様の安全行動をして停止するかもしれない、

という予測運転ができていなかったのです。

また普段は「前のクルマが止まるかもしれない」と予測する時もある、というのですが、

この時は「行ってしまうだろう」と自分に都合よく考えてしまったということでした。

そこで、本人、管理者、リーダー、私とのミーティングに中で

「どうしたら、同じ状況を防ぐことができる?この場面で、

いつでも急ブレーキにならずに止まることができる?」と本人に考えてもらうことにしました。

どのくらい手前からアクセルオフに入り、どの地点からスムーズにブレーキングに入るのかなど、

動画を繰り返し見ながら検証したのです。

すると「より安全な行動」とするには、

「”交差点進入時の前車は止まる”と考えるのをスタンダードにする」と

本人が安全行動を決めてくれました。

「前車は、いつでも、ウインカーが出ていなくても、右左折したり、止まるかもしれない」を

基本として考えて、「いつでも止まれる構え運転」を実践していくというところに着地しました。

今までは、その日の気分で「前車は止まるかもしれない」と考えたり、

「前車は行ってしまうだろう」と考えたりしていて、曖昧になっていた部分を

「前車はいつでも止まるもの」と考えるように決めたことで、曖昧な判断をなくし、

交差点にアプローチするときは、常に徐行の構え運転をするのが当たり前となったのです。

不安全行動にならない運転ができていた時は、「前車は止まるかもしれない」、

不安全行動をしてしまった時は「前車は行ってしまうだろう」と考えていたところを、

「前車は止まるかもしれない」というできている状態の時の判断に統一したのです。

この行動が習慣化されるまで、管理者やリーダーが「構え運転、やってる?」と声かけ確認したり、

時々帰社時にドライブレコーダーの常時記録を見せてもらうなどして検証していくことで、

安全行動を増やしていきました。

その他の事例でも同様に、改善対策を決めるミーティングを度々重ねてきましたが、

「検証」を定期的に行い、習慣化するまで忘れずに、

管理者やリーダーがちょこっと声かけ続けているところでは再発を予防できています。

できている時もあるのに、できていないことが起きる、という事例のときは

「できている状態を増やす」ようにサポートしていきたいものです。

皆様、どうぞご安全に。

(森川美希)