社内コミュニケーションがうまくいく《ほっとひと息ヒント集 Vol.29》

帰りやすい職場ですか?

「働き方改革」で休みを取りやすくする、基本的に残業しない、という方針が

とられるようになった会社も多いのではないでしょうか。

 とは言え、この時期に新人さんの話を聴くと、

「先輩達がまだ仕事をしているのに先に帰っていいものか迷う」

「仕事を手伝おうにも、まだ自分たちにできることが少なくてできる事がない」

「先輩から『自分の仕事終わったら、もう帰っていいよ』と言ってもらえると帰りやすい」

といった声が少なからずあります。

皆さんの職場は帰りやすい職場でしょうか?

 不要な残業にもつながる「帰りにくさ」がある職場の特徴として

「残業をするか/しないか」の基準が明確になっていないという点が上げられます。

何時の時点でどのように残業の必要性の有無を把握するのか、

そして「必要性がなければ帰るのが基本」となっているのかどうか、です。

誰にとってもわかりやすい基準があれば、新人であっても

先輩や上司の「帰っていいよ」を待たずに帰る判断ができます。

ただ、このような基準が明確にあっても帰りにくい職場も存在します。

「暗黙の了解」が根付いている職場です。

・先輩より先に帰るのは失礼にあたるという伝統がある

・残業の必要性を伝えていないのに、帰ると非難する

・自分より先に帰る人が気に入らなくて、それが態度に出る人がいる

「暗黙の了解」は「言わなくてもわかるべき」というものです。

いわゆる「空気を読め」というものですが、これがコミュニケーションを

非常にわかりにくくします。

「暗黙の了解」があると、「言葉にしないけれどくみ取るべきもの」が

存在する事になるので、相手の言葉を額面通りに信じる事が難しくなります。

「何かお手伝いする事はありますか?(なければ帰っていいですか?)」に対し、

「大丈夫、帰っていいよ」という返事があっても、

額面通りの「手伝ってもらう事はないから、帰ってね」なのか、

暗黙の了解で「自分でできる事を探して、言われなくても手伝うよね」なのか、

「帰っていいって言われたからって先に帰ったりしないよね」なのか、

本意がどこにあるのかを探る必要に迫られてしまうのです。

それでいて、出来る事がないのに残っていると「無駄な残業をしている」と

言われる可能性もあります。

特に、仕事の流れ全体がまだ見えていない新人にとっては、

「どのような仕事がまだ残っているのか」を考える事自体が難しく、

それがさらに判断に迷うことにつながります。

会社のためにも、働く全ての人のためにも、不要な残業がなく、

気持ちよく帰る事ができる職場風土はとても大切なものです。

残業の必要性の判断基準を明確にすると共に、

お互いに気持ちよく帰る事のできる雰囲気作りが大切です。

もしも、まだ終わらせていない仕事がある事に気づかずに帰ろうとしていたら、

「~は終わっていますよね?」と確認すればよいことです。

それを言わずに、後から「まだ仕事があるのに帰るなんて図々しい」などと

陰口にしてしまうと、「暗黙の了解」風土へとつながります。

気持ちよく「お疲れ様でした!」で気持ちよく帰る環境を作りましょう。

(柴村 馨)