管理職の「根気よく聴く力」が指導力をあげる

「傾聴力・聴く力」が大切だと、よく耳にするようになってきた、と感じます。

私がカウンセラーになった10年前は、「傾聴」という言葉はあまり知られていませんでした。

最近では管理職の方々と社内コミュニケーションについて話すときに、

「傾聴」が話題にあがります。

「傾聴は大切ですよね。研修でやり方を学んだことがあります。」

「傾聴を意識して話を聴くと、スタッフはよく話してくれるんですよね。」など、

話を聴くことは大切なことだという認識を持っている方が増えた印象です。

先日、職場いきいきプロジェクトで伺ったときに管理職の方と話していたときのことです。

スタッフの指導をしているとき、「話を聴く」ことは果たして有効なのだろうか、

と疑問を持っておられました。

”教えていることができないから指導しており、

いちいち言い分や言い訳を聞いていては指導にならない”

と感じておられました。

この方は、「なぜ、これくらいのことが分からないのかな」とジレンマを感じて、

指導内容を教え込もうとしていたのです。

教える自分側が主体となっていて、教わる相手を理解しようとしていない状況でした。

教わる相手に合った指導を考えてみると、

一通り教えたあとに「指導内容の何処が分かりにくかったですか。

分からなかったことを分からなかったと言えていますか。」と、

確認質問をすることが大切です。

教わったことを実行するのは相手です。

相手が主体的に行動できるように支援するには、

まず現状把握するために話を根気よく聴くことから始まると思います。

一度ではなく、何度か聴いていくうちに、

徐々にスタッフとの距離が近づき、信頼が深まっていきます。

そのように信頼関係が深まってくると、

指導内容の表面的な部分のみならず、うまく出来ない・うまくいかない真の原因が見えてきます。

同じ指導の仕方で、うまくいかない・改善されないというときは、

しっかり向き合って根気よく話を聴いてみることが大切だと思います。

指導の仕方に工夫がうまれ、新たなアプローチも見えてきます。

(森川 美希)