自部署の業務領域を明確にする
以前から、
組織力強化プログラム”職場いきいきプロジェクト(以下、いきプロ)“のミーティングの中で、
「鳴り止まない電話の多さ」が課題に出てきていた案件がありました。
事業所内共通の電話番号にも関わらず、かかってくる電話がA部署あてのものばかり。
他部署にとってみれば、自分の仕事もあり、
電話が鳴るたびに「A部署あてだな」と思うと、取りたくないという本音があって
数コール鳴っても取らない、という事象が発生していました。
顧客からの電話もさることながら、外出中のスタッフからのA部署への確認などの社内電話も多く、
他部署にとってみれば「電話を取っても内容が分からない」というのも
取らない理由になっていました。
そんな中、近接領域の業務をしているB部署の管理職が別件で、
他エリアの出先事業所へ出張したときのことです。
同じ仕事をしているのに、あまりにも静かな事業所内で、何が違うのだろうと確認すると、
部署ごとに携帯電話を設置し、社内スタッフの外出先からの電話は全て、この携帯電話にかける、
というルールが設定されていたのです。
部署ごとに分けられていますから、業務領域も明確になります。
自部署のスタッフからの電話は、自部署内で取る、ということが明確化されていたのです。
そこで、この案を持ち帰り、
さっそくB部署の管理職はA部署と、その他の近接業務の管理職を集めて、
見てきたことを詳細に話して、まずはA部署から試しに取り組んでみないか、と提案しました。
A部署の管理職は、自部署の内勤スタッフにとって負荷が分散されずに負担が増える、
と最初は難色を示しましたが、B部署の管理職の「電話が減って和やかな職場になり、
分かる人が対応するから業務が明確に早く対応できる」という熱心な説明と分かりやすいメリットに
試験導入を決めました。
導入から数日後に訪問した際に、A部署の管理職にお会いすると、
ヘッドセットマイクを付けて「携帯電話を導入して、
外出中の社内スタッフへの確認対応も早くなり、事務所内もとても静かになりました。
両手を空けてパソコン作業ができるよう、ヘッドセットマイクも導入してみました。
とても快適です」と、すっかり携帯電話対応に馴染んでいました。
外出先から電話をかけるスタッフにも電話が通じなくても
「別件対応中のときは順番で折り返します」と理解を促し、待ってくれる状況になったのです。
この事例では、他部署だから関係ないという縦割意識ではなく、
他部署の業務の逼迫が周囲に及ぼす影響を考え、他部署への提案と周囲への対話を通じて、
自部署も他部署も生産性があがることを示してくれた好事例と思います。
このような提案と対話は、
話せる雰囲気がある職場風土、心理的安全性が確保されていることが前提にあります。
その部分を弊社サービス”職場いきいきプロジェクト“で支援いたします。
(森川美希)