良し悪しではなく
私の安全研修を受けてくださった、Aさんの話です。
Aさんは、自社内のある掲示板について、
掲示している内容にもかかわらず、内容に関しての質問を何度も受けていました。
よく聞かれるため、「その内容を聞かれるのは何故だろう」と何気なく思っていた時のこと。
私の研修の一コマで
「見る(視る)」をテーマにした部分で、視野・死角についての体験と説明があります。
それを受講したことで
「そうか!掲示板が視野に入ってないのかも?」との気づきを得たそうです。
研修での気づきを活かし、部署に戻り次第、
早速低い位置にあった掲示場所を目線の位置に持ってきて掲示してみました。
すると、その日1日は、掲示板に関する内容をまったく聞かれず、
ちゃんと対象者が掲示板を見ていることが分かったそうです。
普段なら、10人来たら2~3人は掲示板に気づかず聞いてくるものが、
掲示位置を変えただけでゼロになったのです。
この経験で手ごたえを感じたAさんは、
その掲示板は、目線の位置に配置したまま、申し送りの連絡ノートに、その旨を書き
「もし使いにくいときには、位置を変えてもらっても良いです。」と、書き添えたそうです。
そして、次に出勤したときには、元の下の方の位置に掲示板は戻っていて、
少し、ガッカリしたそうですが、この後の判断が秀逸でした。
Aさんは、元の下の方の位置に掲示した方が仕事がしやすいなら、それで良いし、
自分が仕事する時間帯だけは、目線の位置に掲示しようと思います、とのこと。
その掲示板の位置が重大なわけではなく、
そこに社内ルールも特に存在せず、どこにあっても構わない前提だから、
他のひとのやり易さも尊重しつつ、自分のやり易さも尊重して、
どちらにもOKを出しているのです。
「そっちのやり方は効率が悪い。自分のやり方が絶対に良いのに!」とは、言わず、
どのやり方であろうとも、
その時間帯の人が仕事がしやすく効率的に業務が進んで、
結果が出るなら、どちらもOKという考え。
効率を考えると、会社や部署の社内ルールとして、
掲示板の場所を決めるのも、一つの手ですね。
※この記事は、2017.4.1に掲載したブログを修正して再掲しています。
(森川 美希)