社内コミュニケーションがうまくいく《ほっとひと息ヒント集 Vol.43》

雰囲気を解きほぐしてくれる言葉

先日、飛行機の機内でとても素敵な言葉を聴く機会がありました。

その日の空港は人が多く、検査場も非常に混み合っていたようです。

搭乗予定の方々も検査場通過に思いのほか時間がかかる状況で、

バス移動で搭乗する機内では、最後のバスの乗客を待っていました。

本来の離陸時間を迎えた少し後に、ようやく最後の移動バスが到着し、

7,8名の乗客が着席した頃に機長からの機内アナウンスがありました。

まず、発着便の混雑で出発が遅れていることを詫びた後に、

「また、本日は空港の検査場も大変混み合い、通過されるまでに

お時間がかかったお客様も多かったと聞いております。

 大変お疲れ様でした。当機の出発の順番が参りますまで、

皆様、今しばらくお待ちくださいますようお願い申し上げます」

正確ではありませんが、このような内容のお話でした。

早くから搭乗して待っている乗客の少しばかりの不満も、

検査場で乗り遅れるのではとドキドキしながら通過を急いだ乗客の不安も、

(おそらく)最後の移動バスに乗った時点では間に合っていた乗客のやりきれなさも、

なんとなく機内に漂う「待った」「待たせた(仕方なかったけれど)」の

気まずい雰囲気も、機長のこのアナウンスで解きほぐれた気がしました。

搭乗が遅れた乗客の状況を知ることで、待っていた側の乗客はその焦りや不安を

想う事ができて、気持ちに優しさが生まれます。

その優しさがもたらす解けた空気感が、遅れた乗客のなんとなくの居心地の無さを

ほっと安心した心地に変えてくれます。

この解きほぐれている連鎖に、とても素敵な時間に出会えた気がしました。

誰も言葉にするわけではありませんが、

「そうですよね、焦りもあってお疲れになりましたよね。

一緒に出発の順番を待ちましょう」という雰囲気が作られた印象です。

居心地の悪さをそのままにしない、解きほぐす言葉選びと伝える実践、

とても感銘を受けた経験になりました。かくありたいものです!

(柴村 馨)