事故予防は安全行動を増やすことに着目する

事故を防止するための安全活動では、

事故を減らすために現状把握してから原因追及をしていきます。

これは、とても大切なことです。

原因をつきとめていくと、

直接原因となった不安全行動から背景にある環境不全、

管理体制や個々の傾向などが見えてきます。

そうすると環境改善や管理手法の見直しなど、

組織として恒久的に役立つ対策を取っていくことができ、

誰もが同じように安全に行動できる状態になっていきます。

そして今後の未然予防として不安全行動を無くす対策が立てられます。

すると対策として多くのルールが「〇〇しない」「〇〇禁止」というような制限になりがちです。

一見正しそうな方法ではありますが、

意外と事故は減らず、ルールが増える一方で事故は減らないという現象に陥ります。

そんなときは着目するところを少し変えることが重要です。

安全行動を増やすにはどんな行動が良いのか振り返ると、

日々の業務の中での大半は事故にならずにうまくいっています。

このように管理者にお話しすると

「不安全行動をしていても、たまたま今まで事故にならなかっただけ」

「周りのひとやクルマが避けてくれていたから本人が気づかないまま事故に遭わなかっただけ」

というような返答をもらいます。

しかしながら事故者面談をしていると

「普段は周囲の確認をして動くが、この日は見ていなかった」というような発言があります。

そこを深堀りして「いつもは出来ている安全行動が何故このときはできなかったのでしょうね。

出来ているときは、どんな行動をしていますか」と対話をしていくと

「出来ているときは、こうしています」とハッキリ答えます。

「出来ている安全行動」を具体的に本人に話してもらうことで

「この行動をしていれば無事故が継続できる」と自覚してもらえます。

無事故が継続できる行動が足りないと管理者が感じたときは、育成のチャンスです。

教え込むことが出来ていなかったために事故に遭っていたのですから、

そこを再教育して足りない行動を補えるようにしていく機会にします。

そして事故に遭ったひとだけではなく、他のひとにも再周知して、

場面に応じた安全行動をみんなで増やしていくと

未然の事故予防が実現されていきます。

(森川美希)