社内コミュニケーションがうまくいく《ほっとひと息ヒント集 Vol.34》

同音異義語いろいろ

言葉を使ったコミュニケーションの難しさの要因として挙げられるものの1つに

「同音異義語」があります。

例えば、「健診」と「検診」も発音は同じですが、意味が異なります。

「健診」は健康診断を略した言葉です。

その「健診」で検査結果に異状が見られた場合に、「検診」つまり詳しい検査を

受けることになります。

文字で伝える場合には、その表記(漢字)が意味をもつため、誤字さえなければ

正しい意味を伝えることができます。

しかしながら、口頭で伝える場合には、伝える側が考えている意味(漢字)と

聞く側がが思い浮かべた意味(漢字)が異なることがあります。

これが「聞き間違い」による意図の誤解につながるのです。

同一の音で異なる意味を持つことが誤解を生む要因です。

言葉でも正確に伝えることが難しいのが「意図」なのですが、

車のクラクションのような単調な音の場合、さらにその意図の伝達は難しくなります。

そもそもクラクションは警音器であり、「警音鳴らせの標識があるところ」にのみ、

使用できると法律で定められているものです。

しかし、実際には「ありがとう」や「早く行って」「むかついた」等、

様々な意図を伝えることに使用されています。

クラクションを鳴らすことがトラブルのきっかけになることもあるようですが、

意味させようとする意図の幅の広さが誤解を生みやすくしているのでしょう。

さらに、「誰に」対して発したものなのかが分かりにくいという面もあります。

自分が運転していて、後ろの車がクラクションを鳴らした場合、

自分に対して何らかの注意を促しているものなのか、

他の車への感謝や注意を伝えているものなのか、判断がつきかねます。

ときには、ただ偶然に手がクラクションに当たってしまっただけ、という

何の意図もないクラクションである可能性もあるでしょう。

クラクションによるコミュニケーションは究極の同音異義語と言えます。

「誤解」につながりやすい「同音異義語」のコミュニケーションは、

できるだけ避けて、元々の意図である「警音」としてのみ用いることが

誤解防止、トラブル防止につながります。

クラクションほどの伝わりにくさではないにしても、同音異義語による誤解は

できる限り防止できた方がよいでしょう。

社内コミュニケーションにおいても、例えば「健診」を略さずに

「健康診断」と言うだけで同音異義語による誤解は防げます。

略語で効率的に伝えたつもりが、聞き間違いを生んで、

かえって面倒なことになることもあり得ます。

意味が近い同音異義語ほど誤解につながることを覚えておいて、

ちょっと気をつけて伝えるようにすることもコミュニケーションのコツの1つです。

(柴村 馨)