社内コミュニケーションがうまくいく《ほっとひと息ヒント集 Vol.70》

熱中症対策におけるコミュニケーション

梅雨入りの時季らしい蒸し暑さが感じられる6月ですね。

2025年6月1日より労働安全衛生規則の改正省令が施行されて、

職場における熱中症対策が義務化されました。

WBGT(暑さ指数)が28度以上または気温31度以上の環境で、

連続1時間以上または1日4時間以上の実施が見込まれる作業に対しては、

熱中症対策が義務化され、対策を怠った場合には罰則もあります。

求められる対策は「体制整備」「手順作成」「関係者への周知」ですが、

それぞれで気をつけたいコミュニケーション・ポイント(P)を見てみましょう。

1)報告体制の整備(見つける)

  熱中症の自覚のある作業者や、熱中症のおそれがある作業者を見つけた人が、

  「誰に」「どのように」報告すればよいかを決めておく必要があります。

  P:熱中症になると、うまく話せなかったり、話がまとまらなくなったりします。

   電話や無線での連絡の際は、受ける側がその想像力を持って対応しましょう。

   聞き返しへの反応が遅い場合は、重度の熱中症の可能性もあります。

   また、報告しやすいように、「早めの報告ありがとう」の雰囲気づくりも大切です。

2)実施手順の作成(判断する・対処する)

  重症化を防止するための必要な措置の実施手順を作成しておく必要があります。

  作業からの離脱や身体の冷却措置、必要に応じた医療機関への搬送などです。

  P:熱中症は早めに対応すれば重症化は防ぐことができます。一方で、重症化すると

   その影響が長引いてしまうこともあるため、「まず、休んで冷やそう」の声が

   出ることが大切です。「大丈夫?」と訊くより「休もう、冷やそう」ですね。

   また、救急車を呼ぶことを想定して、場所の説明の仕方も準備しておきましょう。

   各現場で手順を実施することを具体的に想定して、「どこで休ませて」「何で

   冷やすか」を含めて、手順確認をしておきましょう。

3)関係者に周知

  せっかくの対策も、現場の皆さんに周知されていないと意味がありません。

  現場で使える実施手順にするとともに、連絡体制の周知徹底を行う必要があります。

  P:他人事ではなく、自分事として伝わるように、同様の作業環境での熱中症事例

   などを用いて伝えることが大切です。熱中症の重症化の影響なども説明します。

真夏の気温が高くなる日は自然と熱中症対策が思い浮かびます。

しかし、今の湿度の高い天候も、気づかないうちに熱中症リスクは高まります。

お互いに頻繁に声をかけあって、熱中症予防・早期発見につなげたいですね。

注)WBGT(暑さ指数:湿球黒球温度):気温、湿度、日射・輻射熱(照り返し等)を

  総合的に考慮したもの。熱中症のリスクを示す指標:環境省熱中症予防サイト参照)

(柴村馨)