社内コミュニケーションがうまくいく《ほっとひと息ヒント集 Vol.58》

心地よい関心

相手を大切に思う、その気持ちが伝わるのは、相手に対して肯定的な関心を

持つことだと、これまでのブログでもお伝えしてきました。

やる気がないように見えたときにも、「やろうとはしているけれど、何かうまく

いかない点があるのかも。どうやろうとしているか、訊いてみよう」と

「やろうとしている前提」で働きかけてみるのも、肯定的な関心の示し方です。

訊いてこないから放っておくのでもなく、やる気がないと決めつけて叱るのでもなく、

肯定的な関心をもって関わってみる姿勢です。

と同時に、相手に示す関心は、「心地よい関心」であることも大切です。

「関心を持つ」のも、行き過ぎると相手のエリアに土足で踏み込むことに

なってしまうことがあります。

教えながら、学校時代の成績がどうだったのかを訊いてみたり、

疲れているようだと心配して、プライベートを根掘り葉掘り訊いてみたり。

人によっては、色んなことを話せる人だと思ってもらえるかもしれませんが、

人によっては、心配してくれるのは有難いけれど踏み込みすぎだと感じるでしょう。

さらに、この踏み込みすぎた関心をもったまま、本人の居ないところで

周囲と話をしたとすると、それは単なる「うわさ話」になります。

「Aさん、最近元気がない気がするけど、プライベートで何かあったのかな?」

「ああ、なんか子どもさんが高校受験みたいで、大変らしい」

「へぇ、どこを受験するんだろう?」

「私立の結構いいところを狙うんじゃないかな。」

「それだと気も休まらないだろうし、学費の心配もあって大変だよね」

これは、Aさんにとっては余計なお世話ですね。

このような関心は、持たれても迷惑なだけです。

職場での「心地よい関心」はサポートのためであることが前提です。

できるだけ直接本人と話をすること、関心を持つ理由も伝えることが大切です。

「Aさん、最近元気が無いような気がしているのだけど、何か気になることあります?」

*ここでAさんが話さない場合は、そこでいったん引きましょう。

「特にないなら、安心しました。手伝えることがある時は、言ってくださいね」

これで、気にかけていること、サポートするつもりがあることが十分に伝わります。

*Aさんが話してくれたら、訊いて一緒にサポートできることを考えます。

「実は、子どもが高校受験で、なかなか大変なんです」

「受験期は親も気が張りますよね。話を聴くくらいはできます。遠慮なくどうぞ。

少し愚痴を言うことですっきりした気持ちで帰れたりもしますしね」

「ありがとうございます。そう言ってもらえたことで十分気が楽になりました」

安心感につながる関心の寄せ方になっているか、

興味本位ではなく、相手のサポートのための関心になっているか、

時々チェックすることをお勧めします。

(柴村 馨)