安全運転アドバイス33 《緑 一郎つぶやきシリーズVol.107》

 緑 一郎のページへようこそ!

 このページは、(株)安全会議が提供する、安全運転への呟きアドバイスです。
 
 ここでは、私の安全運転への“つぶやき”から、これは“ゲット”と思った
「とっておき情報」や「これはいいね情報」を、あなたのポケットに入れて
いただき、これから運転する時に、ポケットの中を思い出して、交通事故から
ご自分やまわりの方々を守ることができれば、それは私にも「最高の幸せ」
いう思いから、“つぶやき”シリーズのページで呟くことにしました。

 第107回は、『緑 一郎“つぶやき”シリーズ「安全運転アドバイス33」』です。
 第106回の、「飲酒運転根絶29」では、「飲酒の機会が続きます」について、
呟きました。
 第107回の「安全運転アドバイス33」は、「自転車のひき逃げ」について呟きます。

◎ 自転車のひき逃げ

  昨年の12月中頃、夕方のテレビニュースを見ていると、自転車と歩行者の事故の様子が
 映し出されていました。
  信号機が設置されている横断歩道で、歩行者側が青になって横断しようとした女性歩行者が
 2~3歩踏み出したところ、女性の右方向の車道から、赤信号を無視した男性運転の自転車が、
 スピードを落とさないまま進行してきました。
  そのまま横断歩道上の女性の右側面に衝突して、女性は突き飛ばされたように転倒し、
 自転車も重なり合うようにして転倒したのです。

  テレビを見ていて、これは女性が怪我をしたかもしれないと思いながら、
 その後の様子を見ていると、自転車の運転者は立ち上がって自転車を引き起こすと、
 転倒した女性の負傷の有無等を確認することもなく自転車に飛び乗りました。

  その時、通りかかった別の女性が「待ちなさい」と声を掛けましたが、それを無視して
 自転車に乗って逃げ去りました。

  今回は、この事故について呟きます。

○ 交通事故とは?

  道路交通法第67条第2項では、
 「車両等の交通による人の死傷若しくは物の損壊(以下「交通事故」という。)」・・・と
 定めています。

  警察庁の「交通事故統計における用語の解説」では、
 「交通事故」とは、
 道路交通法第2条第1項第1号に規定する道路において、
 車両等及び列車の交通によって起こされた事故で、
 人の死亡又は負傷を伴うもの(人身事故)並びに物損事故をいう。
 (以下省略)と定めています。

○ 自転車の事故は

  今回の事故は、自転車の交通によって起こされた事故です。
  自転車は軽車両であり、車両等に該当しますので当然「交通事故」になります。

○ 自動車事故の刑事責任

  自動車の交通によって起こされた事故(人身事故)は、
 「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」
 第5条「過失運転致死傷」罪により、
 「自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、
 七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。
 ただし、その傷害が軽い時は、情状により、その刑を免除することができる。」と
 定めておりますが、これは自動車の運転よる場合で、自転車はこれには該当しません。

○ 自転車事故の刑事責任

  自転車の交通によって起こされた事故(人身事故)は、
 「刑法第211条 重過失致死傷罪(太字部分)」に、
 「業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、五年以下の懲役若しくは禁錮又は
 百万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。」と
 定めており、今回の自転車の運転による交通事故は、信号機が設置された横断歩道があるのに、
 信号機の色や横断者の状況などの安全確認を怠った過失があり、
 「重過失致傷罪」の責任を問われることになるでしょう。

  さらに、転倒して負傷したと思われる女性を救護せずに、その場から逃げ去った
 「ひき逃げ」の行為について、

 「道路交通法第72条1項 交通事故の場合の措置」では、

 「交通事故があったときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の
 乗務員は、
  直ちに車両等の運転を停止して、
  負傷者を救護し、
  道路における危険を防止する等必要な措置
 を講じなければならない。

  この場合において、当該車両等の運転者は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、
 警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署の警察官に当該交通事故が発生した
 日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物
 及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について
 講じた措置を報告しなければならない。(一部省略)」

  「罰則、道路交通法第117条、117条の5」では、

 自転車の運転者:1年以下の懲役又は10万円以下の罰金。
 と定めています。
 (参考:車両等(軽車両を除く。)の運転者が、当該車両等の交通による人の死傷が
 あった場合において、人の死傷が当該運転者の運転に起因するものであるときは、
 10年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。)
 と定めており、自転車によるひき逃げの場合と異なります。

○ 民事責任、行政処分等

  自転車の運転者は、被害者の負傷や物の損壊等に対する治療費や損害賠償、
 慰謝料等の責任が待っています。
  また、免許の停止・取消し等の行政処分の可能性もあります。

○ おわりに

  重過失致傷罪とは、
 「厳重に注意しないと大事に至ると言われているのに、
 うっかりしてそれを忘れたために起こす過失に対する罪。」です。
 (例、ガソリン置き場での喫煙に起因する火事など。)

  自転車は、手軽で便利な乗り物ですが、交通ルールを守らないと、大変な事故になります。
  日頃からルールを守っていないと、あっと思った時に間に合いません。
  この位という、ちょっとの不注意が取り返しのつかないことになります。
  また、歩行者も自己防衛のため、周囲の安全に気配りしましょう。
  自転車利用者は、万一のために任意保険加入をおすすめします。

 
≪参考文献≫
 警察庁「用語の解説」
 新明解国語辞典

それでは、第107回はこのへんで、次回をお楽しみに!   (緑 一郎)