実践:かもしれない運転7カーブでの事故防止 《緑 一郎つぶやきシリーズVol.24》

 緑 一郎のページへようこそ!

 このページは、(株)イエス,アンドが提供する、安全運転への呟きアドバイスです。

 ここでは、私の安全運転への“つぶやき”から、これは“ゲット”と思った

「とっておき情報」「これはいいね情報」を、あなたのポケットに入れていただき、

これから運転する時に、ポケットの中を思い出して、

交通事故からご自分やまわりの方々を守ることができれば、

それは私にも「最高の幸せ」という思いから、

“つぶやき”シリーズのページで呟くことにしました。

 
 第24回『緑 一郎“つぶやき”シリーズ「実践:かもしれない運転7カーブでの
事故防止」』
は、第23回に引き続き、大きな自動車を運転する人は、もちろん、
普通車だけ運転する人にも知っておいてほしい、大きな自動車の車両特性、
注意点等を呟きます。


 
○ 大型タンクローリーのカーブでの事故防止

  第23回の「実践:かもしれない運転6カーブでの事故防止」では、大型
 トレーラーの横転事故の話を呟きました。
  この事故では、残念ながら運転手さんは亡くなりました。また、現場の道路
 利用者(車)は、道路が通行不能となり、大回りの迂回を余儀なくされました。
  しかし、大型トレーラーを所有する運送会社以外に、大きな被害の発生は
 ありませんでした。

  ところで今回は、超特大の損害賠償事案となった大型タンクローリーの、
 横転事故について呟きます。

  今回の事故では、私もその損害額の大きさに圧倒されました。

 ・ 事故発生時間は、平成20年8月3日(日)午前5時52分頃。
 ・ 事故発生場所は、東京の首都高速5号池袋線熊野町ジャンクション。

 ・ 事故発生状況は、ガソリン16キロリットル、軽油4キロリットルを積載
  したA運送会社所有の大型タンクローリーが、熊野町ジャンクション内の
  右カーブを曲がりきれず左側に横転、左側側壁に衝突した後、漏れ出た
  ガソリン等に引火、火災となった。
   火災は、約5時間半にわたって炎上、この火災の熱によって、上下2段構造
  となっている首都高速道路事故車線の、上部上り線の橋桁が数十メートルに
  わたって変形し、最大60センチメートル沈下した。さらに、横転した大型
  タンクローリーが走行していた下り線も、アスファルトや橋桁、側壁が焼け、
  さらに、この事故現場のそばに建っていた近隣マンションの外壁も、火災の
  熱で焼けるに至った。
   この大型タンクローリーの運転手は、重傷を負いながらも助かった。
 ・ この大型タンクローリーによる火災は、国内史上最大規模の損害事故となった。
 ・ 首都高速道路株式会社は、大型タンクローリー横転による火災により、
  「復旧工事費用20億円」「通行止めによる通行料金の逸失利益25億円」
  「計45億円」を、A運送会社に損害賠償請求を行った。
 ・ 裁判の結果、A運送会社が加入の共済組合は敗訴となり、共済組合は
  11億8千万円を支払った。
   さらに、運転手とA運送会社には、32億8,900万円支払いの判決が
  出た。
   A運送会社は、負債総額約33億円で破産手続開始決定がなされた。


 
 ・ このように、タンクローリーの横転事故は、大変な損害を引き起こして
  しまいました。諸外国では、更に甚大な被害をもたらした事例があります。
  ・ 2017年6月、パキスタンでは、横転したタンクローリーのガソリンを
   すくい取ろうとしていて引火爆発、130人以上が焼死した。
  ・ 2019年7月、ナイジェリアでも、横転したタンクロリーのガソリンを
   すくい取ろうとしていて引火爆発、50人が焼死し100人以上が負傷した。

 ・ 大型タンクローリーの横転事故を防ぐには、どうしたら良いでしょうか?
  ① カーブでの速度の出し過ぎ
    大型タンクローリーは、積載すればするほど重心点が高くなります。
    重心点が高ければ高い程、速度を出すとカーブでの走行安定性が悪く
   なります。
    首都高速道路での事故は、早朝で交通量も少ないことから、かなり速度を
   出しており、カーブに入る前に十分減速しなかったため、タンクローリーの
   重心点が高いのに加え、速度による遠心力が働き、横転したものと思われます。
    横転事故を起こさない為には、運転手自身はもちろん、運行管理者等は、
   運転手に「カーブ手前での減速、カーブは徐行」の徹底を厳しく繰り返し
   繰り返し伝えましょう。
  ② 危険物積載の認識
    運転手は、ガソリンや高圧ガス等の危険物積載時は、危険物との認識を
   強く持ちましょう。運行管理者等は、運転手に機会ある毎に危険物が漏れ
   出した時の重大性の認識を、運行の都度徹底しましょう。

では、第24回はこのへんで、次回をお楽しみに        (緑 一郎)